休憩時間なしで早く帰りたいという申し出は認められるのでしょうか。
Q.私の勤務時間は12時から21時までで、途中1時間の休憩を取るように言われているので、1日の労働時間は8時間です。途中の休憩時間はいらないので、その分1時間早く帰らせてもらいたいと思っているのですが、このような申し出は認められるのでしょうか。
A.休憩時間なしで早く帰りたいという申し出を勤務先に認めさせることは、原則としてできません。
労働基準法により、使用者は、労働者に対して、労働時間が6時間を超える場合には45分以上、労働時間が8時間を超える場合には60分以上の休憩時間を、労働時間の途中に与える法律上の義務を負っています。
労働が長時間継続すると、労働者の心身に疲労をもたらす上、労災が起きやすくなったり、業務効率が低下したりするおそれもあるので、疲労回復のために休憩時間を与えることが義務付けられているのです。
ご質問のようなケースでは、休憩時間を除いても8時間労働となりますので、使用者は、少なくとも1時間の休憩を与えなければ、労働基準法に違反することになります。
このように、使用者としては、労働者に休憩を与える義務が課されている以上、「休憩はいらない」という労働者の希望にかかわらず、きちんと休憩を取らせることが必要になります。そして、休憩時間は労働時間の途中に与える必要がありますので、「休憩時間をなしにしてその分早く帰る」という申し出を認めるわけにはいかない(休憩を取るよう命じることができる)のです。
ただし、使用者は、労働者に対して、休憩時間を自由に利用することを認めなければなりません。休憩時間が設定されていたとしても、その時間中に、使用者からの明示・黙示の指示により労働を余儀なくされているような場合には、「休憩時間を取らせた」とは認められません。また、労働者としては、休憩時間中に働いた分の賃金を請求することも考えられます。
「十分に休憩時間が与えられていない」
「休憩時間中に働いた分の賃金が支払われていない」
もしこのような実態がある場合には、使用者に対して改善を求めていくべきです。使用者との交渉をお考えの方は、初回相談料は30分無料ですので、まずは当事務所までご相談ください。