出張先で業務終了後、その日泊まる予定のホテルに向かう途中で転倒して負傷しました。労災は認められるのでしょうか。
労災が適用される「業務災害」と認定されるためには、負傷について、「業務遂行性」(労働者が事業主の支配下にあること)と「業務起因性」(労働者が事業主の支配下にあることに伴う危険が現実化したと認められること)が認められることが必要です。
そして、出張中は、労働者は、その用務の成否や遂行方法等について包括的に使用者に責任を負っていること、一定の私的行為が行われるのが通常であることから、特段の事情のない限り、出張過程の全般について、事業主の支配下にある(「業務遂行性」がある)と評価され、「業務起因性」についても広く認められています。
ただし、出張で命じられた用務外の目的で迂回順路を取る場合など、積極的な私的行為がある場合には、「業務遂行性」や「業務起因性」が否定されることがあります。
したがって、出張先で宿泊予定のホテルに向かう途中で負傷したようなケースでは、原則として労災として認められると考えられますが、例えば業務終了後に福岡の友人宅に遊びに向かう途中で負傷した場合には、労災とは認められないでしょう。