完全歩合給制が採用されています。成果が出ない場合、全く給料が出ないという扱いは許されるのでしょうか。残業代はもらえないのでしょうか。
労働契約において、完全歩合給制が採用されていたとしても、会社との間で雇用関係にある限り、会社は、労働時間を把握し、都道府県ごとに決まっている最低賃金以上の賃金を保障しなければなりません。
すなわち、「完全歩合給制で、今月は成果がゼロだったので、給料もゼロ」という扱いをすることは許されず、給料が最低賃金以下の場合、会社は、最低賃金との差額を、労働者に対して支払う義務を負うことになります。
また、労働基準法では、歩合給制の場合でも、会社は、労働時間に応じて一定の賃金(保障給)を必ず支払わなければならないと規定しています。
したがって、歩合給制により賃金が全く支払われなかった場合でも、労働者は、保障給の支払いを求めることができます。
この保障給の具体的額については、「常に通常の実収賃金とあまり隔たらない程度の収入」が保障されるように定めるべきとされており(平均賃金の6割以上が1つの目安です)、少なくとも、最低賃金以上の金額である必要があります。
また、歩合給の場合でも、労働時間や残業代の規制は適用されますので、労働時間が1日8時間、1週40時間を超えるものであれば、会社は残業代を支払わなければなりません。
ただし、歩合給の場合における残業代計算方法は、通常の固定給の場合とは少し異なりますので、注意が必要です。
会社の賃金の支払い方に疑問を感じたら、是非一度ご相談ください。