有給休暇を取ろうとしたら、「よっぽどの理由がなければ駄目だ」と言われて拒否されました。理由は言いたくありませんが、どうすればよいのでしょうか。
使用者は、6か月以上勤務を続けて、全労働日の8割以上出勤した労働者には、少なくとも10日間(勤続年数に応じて最大20日間)の有給休暇を与えなければなりません。
そして、労働者が有給休暇をいつ取るか、それをどのように利用するかは、基本的に労働者の自由です(使用者は、休暇の理由によって、休暇を与えたり与えなかったりすることはできません。)。
ただし、労働者が指定した日に休暇を与えることが、事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者は、有給休暇を他の日に振り替えることができます(これを時季変更権といいます)。
この場合、労働者があらためて、休暇を取りたい日を指定することになります。
この「事業の正常な運営を妨げる場合」については、判例上、労働者が休んでしまうとその担当業務に代替要員を確保しなければ正常な業務運営が妨げられる場合であって、かつ代替要員を確保するのが困難であることが必要であるとされています。
このように、使用者には、代替要員を確保する義務があるとされており、なるべく労働者が指定した時期に休暇がとれるように、状況に応じた配慮をしなければなりません。
したがって、使用者は、ただ忙しいというだけで有給休暇の取得を拒否することができるわけではありません。
もっとも、使用者の時季変更権の行使が許されるか許されないかは難しい判断が必要になってきます。疑問に感じることがあれば、是非一度弁護士に相談してください。