就業規則の有無を確かめることはできますか。一度も目にしたことのない就業規則も有効でしょうか。
事業場単位で常時10人以上の労働者を使用する使用者は、法で定められた一定事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければなりません。
そして、就業規則の作成・届出の手続に関しては、以下の事項が、使用者には義務付けられています。
①労働者の過半数を代表する者(労働組合)からの意見聴取、
②労働基準監督署への届出、
③作成した就業規則の労働者への周知(作業場の見やすい場所へ備え付けたり、書面を労働者に交付したりして、労働者が知ろうと思えば知り得る状態にしておくこと)
これらの手続を行わなかった使用者は、30万円以下の罰金に処せられることがあります。また、それだけにとどまらず、労働者が知り得る状態に置かれていない、すなわち労働者への「周知」を欠く就業規則は、適用のための重大な要件を欠くものとして、無効とされることがあります。
就業規則は、労働契約の最低規準を規制するとともに、懲戒処分などの根拠ともなる重要な定めです。
上記のように、使用者には就業規則を労働者へ周知する義務がありますので、就業規則の有無や内容が不明な場合、労働者としては、就業規則の周知を図るよう使用者に申し入れることができます。
使用者が周知義務を履行しない場合、労働基準監督署への届出がなされているのであれば、労働基準監督署へ就業規則の開示を求めることも考えられます (もっとも、労働基準監督署によって、対応が変わってくることがあります)。