業務委託契約だから残業代を支払う必要はないという説明を会社から受けました。残業代はやはりもらえないのでしょうか。
労働時間や休日に関する規制など、労働者を保護する制度について定めた労働基準法や、その関連法の適用を受けるためには、労働基準法上の「労働者」に当たる必要があります。
「労働者」は、法律では、「事業……に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義されています。
この「労働者」に当たるかどうかは、契約書のタイトルに「業務委託契約書」と書いてあるか、「労働契約書」と書いてあるか、といった形式的な点から判断されるわけではなく、労働者がどのような働き方をしているか、という実態から判断されます。
- その判断要素には、
- ①仕事の依頼や業務の指示を拒否する自由があるか、
- ②仕事をする上で使用者の指揮命令を受けるか、
- ③勤務時間や勤務場所の拘束を受けるか、
- ④仕事を他の人に替わってもらうことが認められているか、
- ⑤報酬の額、計算方法、支払方法などが労務提供の対価としての賃金の性質を有するか、
といった点が挙げられます。
したがって、契約書のタイトルに「業務委託契約書」と書かれていたとしても、働き方の実態によっては、労働基準法上の「労働者」に当たり、残業代等を請求できる可能性があるのです。
「労働者」に当たるかどうかの判断は、専門的な法的解釈の問題を含みますので、疑問に感じた時には、是非一度弁護士までご相談下さい。