メンタルヘルスを理由とする解雇の効力や管理監督者性を争い、1000万円を超える解決金を支払わせた事例
- 残業代
- 精神疾患
- 解雇
- 訴訟
<事案の概要>
相談者は、相手方会社に入社後、能力を評価されて昇進を果たし、責任ある役職を任されるようになりましたが、職場の人間関係などのストレスから体調を崩し、1か月ほど休職しました。その後、体調も回復してきたことから、会社に復職を申し出ましたが、会社からは復職を拒絶され、結局、会社の業務に耐えられる精神状態ではないという判断により、会社から解雇されてしまいました。
解雇に納得がいかなかった相談者から依頼を受け、当事務所は、解雇の無効を主張し、相談者を会社に復職させるよう求めました。
<解決に至るまで>
当方の要求に対し、会社側は、解雇は有効と主張して全面的に争ってきたため、当事務所は労働審判の申立てをしましたが、労働審判では双方納得のいく解決ができず、通常訴訟に移行して解決を目指すことになりました。
当事務所では、相談者の勤務態様や解雇に至る経緯、メンタルヘルスが争点となった裁判例の傾向等について詳細に主張立証し、解雇には正当な理由はなく適正な手続も踏まえていないので無効であるということを明らかにしました。
また、相談者は、入社後しばらくして一定の役職に就いてからは、残業代の支払いが免除される「管理監督者」として扱われ、残業代が支給されていませんでした。しかし、相談者の社内での権限や勤務管理の状況等からすると、「管理監督者」の要件を満たしているとはいえなかったため、残業代の請求についても合わせて行いました。
その結果、裁判所からは、解雇は無効であり、残業代の請求も認められることを前提とした水準での和解を勧められました。相談者は、様々な事情を考慮して、会社を退職する代わりに、解雇から解決までの期間の賃金相当額を大きく超える水準の解決金の支払いを受けるという内容で和解することを決意しました。そして無事、1000万円を超える解決金による和解が成立し、相談者は十分な内容の補償を受けることができました。
<解決のポイント>
近年、従業員のメンタルヘルスをめぐる紛争が増加しています。本件は、そのような事案において、解雇が無効であることを前提とした解決を勝ち取ることができました。
また、相談者本人は、管理職なので残業代は請求できないと思い込んでいましたが、弁護士のアドバイスにより、残業代についても実質的に回収することができました。このように、相談者は気が付いていないけれども法的には請求できるものについて適切なアドバイスをすることも、弁護士の重要な役割といえます。