職場で暴行を受けて受傷したことによる損害を勤務先に請求し、労災給付とは別に200万円の支払いを認めさせた事例
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<事案の概要>
相談者は、勤務場所において作業中、業務上邪魔だったことを理由に同僚から暴行を受けて、頚椎捻挫等の傷害を負い、約2か月半の休業を余儀なくされました。
相談者は、労災保険を利用して通院治療を行い、また、労災保険から、休業期間中の補償(休業補償)や、後遺障害14級が認められたことによる障害補償の給付を受けました。
もっとも、労災保険による休業補償では賃金の6割分しか支給されず、また、怪我をして通院治療が必要になったことや後遺障害が残ったことによる慰謝料の支給もされません。
そこで、これらの損害を勤務先会社に対して請求するため、当事務所が依頼を受けることとなりました。
<解決に至るまで>
当事務所では、相談者に生じた損害(休業損害、通院交通費、通院慰謝料、後遺障害に伴う慰謝料・逸失利益)を算出し、勤務先会社に対し、損害賠償請求を行いました。
従業員が事業の執行について第三者に損害を加えた場合、使用者は、その損害を賠償する責任を負いますので(使用者責任)、実際に暴行を加えた同僚だけでなく、その同僚を雇っている勤務先会社に対しても、責任を追及することができるのです。
そして、会社側の代理人弁護士との間で交渉を行い、労災保険から給付を受けた金額とは別に、200万円を会社が支払うことを認める内容で合意し、早期解決することができました。
また、相談者は、暴行を加えてきた同僚と同じ職場で勤務を続けることに不安を感じていましたので、当事務所からは、再度のトラブルを防止し、相談者を含む従業員の安全を確保する観点から、相談者と同僚が職場でバッティングしないような勤務体制に変えることを要求しました。その結果、会社において、同僚の勤務時間を変更するという対応を取ってもらうことができました。
<解決のポイント>
労災保険は、被災者に生じる損害の全てをカバーしているわけではありません。そこで、労災保険の申請に加えて、使用者に対する損害賠償請求を行うことが考えられます。
ただし、使用者に対する請求が認められるためには、使用者が責任を負う根拠や損害の有無・金額について、適切な主張立証が必要となります。
本件では、弁護士が介入して、会社側の説得に有用な証拠を収集・提示したことで、早期解決につながりました。会社側と対等に交渉し、十分な被害回復を目指すためにも、労災事故については、当事務所にご相談いただくことをお勧めいたします。