賃金の一方的な減額が行われたケースで、減額分を一部撤回させるとともに、未払い残業代を勤務先から全額回収することに成功した事例

  • 不利益変更
  • 労働審判
  • 残業代
  • 賃金減額

事案の概要

 相談者は40代の女性であり、勤務先会社において期間の定めのない正社員として働いていました。

 しかし、入社から8年が経過した頃、勤務先会社から、次年度より基本給を減額するという内容の労働条件を提示されました。変更後の労働条件は、賃金が最大で2割程度減額となる内容であり、相談者の生活に大きな影響を与えるものでした。

 相談者は、このような労働条件の変更を拒否していましたが、勤務先会社からは引き続き同意を強いられたため、当事務所に相談に来られました。

解決に至るまで

 当事務所は、相談者から依頼を受け、勤務先会社と交渉を行いましたが、勤務先会社は、新年度より、一方的に相談者の基本給の減額を行いました。

 そこで、当事務所は、勤務先会社を相手方として労働審判を申し立てました。

 労働審判では、勤務先会社の行った賃金の一方的な減額は認められないことを前提に、相談者が勤務先会社で勤務を続けることを希望していることから、勤務先会社の事情も考慮に入れつつ、適正な労働条件について協議を行いました。そして、3回目の期日において、基本給を一部減額する代わりに一定の賞与額を保証すること、合意後の基本給を基準にして算定した未払い残業代を支払うこと、基本給の更改に当たっての基準を明確化すること等を定めた調停を成立させました。

 また、当事務所において相談者のタイムカード、給与明細等を精査したところ、勤務先会社の残業代の計算方法に誤りがあり、残業代の未払いが発生していることが発覚したため、勤務先会社に対して別途請求を行いました。その結果、過去2年間分の未払い残業代について、勤務先から全額回収することに成功しました。

解決のポイント

・弁護士の介入により、相談者が勤務先で勤務を続けることを前提とした、適切な労働条件の設定について合意するとともに、適正な残業代の回収に成功することができました。

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