5月1日に「今月と来月の売り上げが一定額に達しなかったら解雇する」と言われ、7月1日に即日解雇されました。解雇予告手当は請求できないのでしょうか。
使用者が労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前にその予告をしなければならず(解雇の予告)、30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない、とされています。
ここでいう「解雇の予告」は、明確なものでなければならず、「解雇日」を明らかにして、確定的な解雇の意思を表示することが求められています。
裁判例においても、「がんばってもらわないと、このままでは30日後に解雇する」と通告したケースで、内容自体あいまいであり、せいぜい業績を上げなければ一か月後に解雇することがあるかもしれないという解雇の可能性を示すものにすぎないとして、「解雇の予告」としての効力を否定したものがあります。
今回の事例の場合には、5月1日の時点では、解雇日が特定できず、「解雇の予告」としては不明確といえますので、5月1日時点での解雇予告の効力は否定されるでしょう。
したがって、労働者は、使用者に対し、解雇予告手当の支払いを請求できるということになります。