兼業は許可制で、会社の許可なく兼業をしていることが発覚した場合、懲戒を行うことができると定めている就業規則は有効なのでしょうか。
労働者は、就業時間中はその会社の職務に専念する義務がありますが、就業時間外は私生活上の自由がありますので、就業規則で兼業を全面的に禁止することは、基本的に許されません。
もっとも、労働者の兼業は、その程度や態様、就業先によっては、会社に対する労務提供に支障が生じ(例:夜間の長時間にわたるアルバイト)、あるいは会社の対外的信用や評価を傷つけ(例:違法行為が行われているような場所での就労、競業会社での就労)、企業秩序を乱す場合があり得ます。 そのため、労働者の兼業について、会社の許可を必要とする旨の就業規則の規定を設けること自体は、合理性が認められ、有効であると考えられています。
ただし、会社が兼業を不許可とすることが認められるのは、企業秩序を乱すおそれがあるようなケースに限られるでしょう。
また、労働者が許可申請をせずに無断で兼業を行った場合であっても、それを理由とする懲戒が必ずしも許されるわけではありません。
すなわち、労働者の兼業によって、労務提供や事業運営に支障が生じ、あるいは会社の対外的信用や評価を傷つけ、企業秩序が乱される事態が生じるおそれがある場合に限り、懲戒の対象となるとされています。