【労働契約終了に関するご質問】
正社員として勤務してきた会社から、売上が減って経営が厳しいので解雇すると言われました。
会社の経営悪化を理由とした解雇は、簡単にはできません。
会社も売上が落ちているから仕方ないとあきらめる必要はありません。
使用者は、期間の定めのない労働者を自由に解雇することはできず、解雇には正当事由(客観的合理的理由と社会的相当性)が必要です。正当事由がない解雇は、解雇権濫用として無効となります。
特に、会社の経営上の理由による解雇の場合(「整理解雇」と呼ばれています)、労働
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期間の定めのある契約社員として、契約更新を繰り返して勤務してきた会社から、売上が減って経営が厳しいので契約を打ち切ると言われました。
期間満了による打ち切り(雇止め)なのか、期間途中の打ち切り(解雇)なのかによって、考え方が変わってきます。
1 期間満了による打ち切り(雇止め)
有期労働契約の契約期間満了時に、使用者が次の契約の更新を拒絶して雇用を打ち切るケース(「雇止め」とよばれています)では、労働契約法19条により、以下の①~③の各条件を満たす場合には、雇止めは許されないと定めています(「7年前に1年契約の社員として
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一刻も早く会社を辞めたいのですが、退職を申し出ても、会社は退職を認めてくれません。どうしたら良いのでしょうか。
労働者には、退職の自由があります。基本的には、辞めることができるケースが大半です。
まず、雇用期間を特に定めていない場合(新卒の正社員の大半はこれに当たるでしょう)には、労働者による退職の意思表示が使用者に到達してから2週間の経過によって、労働契約は終了します。すなわち、原則として、退職に当たっては、2週間前の予告は必要ですが、会社の承認や退職理由は必要ではありません。
ここでは、退
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上司から毎日「早く会社を辞めろ、退職届にサインしろ」と言われています。どうすればよいでしょうか。サインをしたら撤回はできないのでしょうか。
退職勧奨に応じる必要はない
会社が、労働者に対して、「会社を辞めてくれないか」などと言ったり、自ら退職を申し出るように促すことを、退職勧奨と呼びます。
このような退職勧奨は、会社からのいわば「お願い」に過ぎないので、労働者側に会社を辞める気持ちがないのであれば、これに応じる必要はありません。
労働者が退職の求めに従う気持ちがないことを明らかにしているにもかかわらず、会社がしつこく退職を
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会社に産休を申し入れたところ「そんな制度はない、休むのなら辞めてもらう」と言われました。このまま会社を辞めざるを得ないのでしょうか。
法律上、会社は、6週間以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合、その女性に仕事をさせてはならないと定められています(産後8週間を経過しない女性に仕事をさせることも禁止されています)。
そして、女性労働者が、妊娠・出産・産前産後の休業を請求・取得したことなどを理由として、解雇その他不利益な取り扱いをすることは、法律で禁止されています。
また、妊娠中の女性労働者や、出産後1年を経過しない
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有期契約では、労災により休業中でも契約を打ち切られてしまうのでしょうか。打ち切られた場合、労災保険の給付はどうなるのでしょうか。
使用者は、「労働者が業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業する期間(労災による休業期間)及びその後30日間」は、労働者を解雇してはならないとされています。
この解雇制限は、解雇、すなわち使用者から一方的に労働契約を解約する場合に適用されますので、労働者から任意に退職する場合や、契約期間満了による労働契約終了(雇止め)の場合には、原則として適用されません。
したがって、有期契
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5月1日に「今月と来月の売り上げが一定額に達しなかったら解雇する」と言われ、7月1日に即日解雇されました。解雇予告手当は請求できないのでしょうか。
使用者が労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前にその予告をしなければならず(解雇の予告)、30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない、とされています。
ここでいう「解雇の予告」は、明確なものでなければならず、「解雇日」を明らかにして、確定的な解雇の意思を表示することが求められています。
裁判例においても、「がんばっても
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勤務先から解雇されました。納得できないので争いたいのですが、どのような請求をすることができるのでしょうか。
まず、解雇が無効である場合には、解雇後も労働契約上の権利を有していることになりますので、労働契約上の権利を有する地位の確認を請求することができます。
次に、解雇が無効である場合、解雇以降働いていなかったとしても、そのことについては通常、無効な解雇を行った使用者に「責めに帰すべき事由」がありますので、解雇以降未払いとなっている賃金の支払いを請求することができます。
もっとも、解雇後に別会社
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職場復帰を求めて解雇を争いたいのですが、今後の生活を考えると不安です。どのように手続を進めるのが良いのでしょうか。
解雇を争う手続の選択
会社との任意の交渉がまとまらない場合に、解雇を争う方法としては、まず、終局的な解決を可能とする手続である「訴訟」を提起することが考えられます。
もっとも、訴訟は解決まで非常に時間がかかることが多く、その間収入が得られないと、生活に支障が生じ、訴訟を続けられなくなってしまう可能性があります。
そこで、「仮処分」という、労働契約上の地位を有する地位や賃金の支
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会社を懲戒解雇されました。退職金をもらうことはできないのでしょうか。
Q. 先日、30年間勤めた会社を懲戒解雇されました。就業規則には退職金の規程がありますが、会社は「懲戒解雇したのだから、退職金は支払わない」と言っています。解雇自体はやむを得ないと思っているのですが、私は退職金をもらうことはできないのでしょうか。
A. 労働基準法には、退職金請求権を直接根拠づける規定がないため、退職金請求権が認められるためには、就業規則等に退職金の定めが設けられている必要があり
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7年前に1年契約の社員として入社し、毎年契約を更新してきましたが、次年度の契約は更新しないと言われました。退職するしかないのでしょうか。
雇用期間の定めのある労働契約は、雇用期間の満了によって終了するのが原則です。
しかし、このような原則を貫くと、労働者の地位が極めて不安定になってしまいます。そのため、雇用期間が満了した時に会社が契約の更新をしないで契約を打ち切る、いわゆる「雇止め」には、一定の制限があります(「雇止め法理」)。
では、どのような場合に雇止めは許されないのでしょうか。
労働契約法19条は、以下の①
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解雇無効による復職を求める訴訟を提起する予定です。失業保険を受給することはできるのでしょうか。
労働者としては、解雇により収入源を失ってしまっていますので、当面の生活費を確保する必要があります。
しかし、失業保険を受け取るということは、解雇の効力(失業)を自ら認めるようなものですので、解雇無効という主張とは矛盾します。
そこで、労働者が解雇無効を主張して紛争となっている場合に、とりあえず失業と扱うことにして、失業保険(基本手当、傷病手当)の仮の給付を求めることができる、「仮
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何度会社に催促しても離職票を送ってもらえず、失業保険の手続ができません。どうすればよいでしょうか。
1 事業主は速やかに離職票を交付すべき
事業主は、労働者が退職した場合、その翌日から起算して10日以内に、離職証明書をハローワークに提出しなければなりません。
そして、離職証明書提出後、ハローワークから事業主に離職票が交付されます。離職票は、失業保険給付の受給手続に必要とされていますので、事業主は、速やかに離職者に離職票を交付すべきであり、このような手続を行うことは、事業主の義務とされてい
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離職票では自己都合退職とされました。会社都合にしてもらうことはできないでしょうか。
Q.会社から、人件費削減や業務成績の不良を理由にしつこく退職を求められたため、仕方なく、退職届にサインをしました。しかし、離職証明書や離職票では、「労働者の個人的な事情による離職」とされてしまっています。会社が自己都合と言っている以上、会社都合退職にしてもらうことはできないのでしょうか。
A.労働者が離職した理由は、雇用保険の支給開始時期や支給期間に関わってくるものです。すなわち、正当な理由なく
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飲食店に1年契約で働き始めましたが、10か月が経過する頃に閉店となり、解雇されました。 雇用保険の基本手当はもらえるのでしょうか。
雇用保険の基本手当を受給するための要件として、原則として、離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12か月以上あり、労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあることが必要です。
ただし、①事業所の倒産や解雇(労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)などの理由により離職した場合(特定受給資格者)や、②期間の定めのある労働契約が更新されなかった場
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